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8. 再設置作業終了後の作動状況
設置から45日を経過した6月11日までにアルゴスシステムを経由して得られたデータを分析した結果、各種センサーの作動状況は以下の通りである。
(1)気象観測センサー
?風向風速計 良好
?気温計 良好
?気圧計 良好
(2)海氷観測センサー
?水温計 良好
(3)海洋観測センサー
?電気伝導度・水温計(水深8m) 良好
?電気伝導度・水温計(水深41m) 良好
?電気伝導度・水温計(水深73m) 良好
?溶存酸素計(水深8m) 良好
?蛍光光度計(水深8m) 良好
?蛍光光度計(水深105m) 良好
?電磁式流向流速計(水深9m) 異常
?電磁式流向流速計(水深108m) 異常
?セディメントトラップ(水深105m) 良好
?透過率計(水深105m) 良好
(4)姿勢監視センサー
?傾斜計 良好
?コンパス 良好
上記に示したように電磁流向流速計を除く他のすべてのセンサーからのデータが順調に取得されていることが分かった。データの取得状況の1例を図−7に示す。
9. おわりに
今回の氷上作業は、現場で実際にIOEBの状況を観察してからでないと、作業方法を判断することができない性格のものであった。砕氷船で現場に行くことができれば、何から何まで準備して持って行き、どのような状況であったとしても、回収し再設置できる体制を整えることは可能であったであろう。しかしながら今回は砕氷船も航行不可能な海域であったため、ツインオッターという小型の極地用飛行機で輸送できる範囲の必要最小限の荷物と物品および人員による実施方法を計画せざるを得なかった。そのため事前調査の段階で、ツインオッターだけでは無理と判断された際には、非常に絶望的な心境に立たされた。その後の米国側の働きかけにより、カナ

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図−7 データの取得状況

ダ民間のヘリコプター会社からヘリコプターを借り上げることができるようになり、作業の実施を当初の計画に沿って実施可能とすることができるようになった。今後も同様な作業を実施する場合には、ヘリコプターの借り上げを当初の計画に入れておく必要があるものと思われた。
また現場における作業中にも、持っていった新品のセンサーが不調であったなど大小様々な困難があったが、その都度、考えられる最善の方法を見つけ出し、実施していくことで、その困難を乗り越えることができた。よって今回の作業の難しさから考えると、結果は成功であったと言えるであろう。今後はこのIOEB1号機がら送信されるテータを用いての大いなる成果が期待される。
参考文献
1)Krishfield,R.,K.Doherty and S.Honjo:Tecnical Report of the 1991-1992 Ice-Ocean Environmental Buoys(IOEB)、125pp, Woods Hole Oceanographic Institution.(1992)

 

 

 

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